Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

創作のタネ

【創作のタネ】食糧が足りなければ、食べる者を減らせばいい-藤子・F・不二雄「間引き」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 人口が増え、食糧事情が悪化する日本。食糧の配給制が復活する。コインロッカーの管理人は妻と弁当のことでひと悶着を起こし、イライラしながら出勤する。職場にはひとりの新聞記者が来ていた。近年…

【創作のタネ】キートン最初の事件-浦沢直樹「迷宮の男」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 ギリシアでひとりの男が崖から墜落死する。男には高額な保険金が掛けられていたが、その受取人に不審点が浮かぶ。大学講師と保険調査員という異色の顔をもつキートンは、事件の真相を調べるため現地…

【創作のタネ】わたしは「わたし」に異議を申し立てます-藤子・F・不二雄「自分会議」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 青年は安アパートで部屋を借りる。ところが、はじめて見る部屋のはずなのに過去に連れて来られた覚えがある。怪訝に思っているところへ、宙からひとりの男が姿をあらわす。彼は、9年後の未来からや…

【創作のタネ】現代のグレゴール・ザムザの顛末-ジョー・ヒル「蝗の歌をきくがよい」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 ある朝、フランシス・ケイが喜びに満ちた夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。彼を見て気絶する父親とその愛人のもとから一旦は逃げ出し、身…

【創作のタネ】家族との距離感が難しい、高齢化社会に一石を投ずる-藤子・F・不二雄「じじぬき」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 妻に先立たれたお爺さんのガンさんは、息子一家のなかで煙たがられている。食事がなかったり、別居を示唆されたり。小さな嫌がらせにガンさんもまた依怙地になる。あるとき、孫の嘘が引き起こした騒…

【創作のタネ】失墜する父親の「権威」は売れるか?-藤子・F・不二雄「オヤジ・ロック」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 大人の背丈ほどもある岩の模型を売って歩くセールスマン。その名も「オヤジ・ロック」。岩は、ときに厳父と見立てられ、ときに慈父と見立てられ、親父の権威が失墜する現代家庭のなかで家族の心の隙…

【創作のタネ】「おれ」の友達は、中に空気が詰まった人形だった-ジョー・ヒル「ポップ・アート」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 「おれ」の友達はユダヤ系の風船人形アーサー・ロス、通称アート。彼は、呑んだくれの父親と幼いころに「おれ」を捨て消息不明になった母親を両親にもつ「おれ」のたったひとりの親友だ。悪ガキども…

【創作のタネ】尻尾をもつ名指揮者の正体とは-スティーヴン・ビンセント・ベネー『猫の王様』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 トミーは、オリエンタルな雰囲気に包まれたビブラカナルダ王妃に片想い。社交界の華である。一方で、名指揮者として名高いティボーなる人物もまた社交界の話題をさらっている。王妃と共に彼の演奏会…

【創作のタネ】隣席から耳元に囁きかける幽霊-ジョー・ヒル「二十世紀の幽霊」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 アレックが支配人を務める映画館には若い女の幽霊が出た。最初は普通の姿をして映画に夢中になっているが、次第に、鼻血を流して、のけぞり、白目を剥く。アレックが初めて女の幽霊に出会ったのは1…

【創作のタネ】傑作小説の作者に会いたい、遭いたい-ジョー・ヒル『20世紀の幽霊たち』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 エディ・キャロルは、優れたホラー小説を集め、『アメリカ年間ホラー傑作選』として刊行するアンソロジスト。すっかり仕事がマンネリになりうんざりしているとき、傑作だという一本の作品を紹介され…

【創作のタネ】老婆の飼い猫が執拗につけ狙う-ロバート・ブロック『猫の影』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 学級委員長選挙での当選をめざすロニーだが、その正体は、親に隠れて煙草を吸い、弱い者いじめをするワル。そんな彼も黒猫を飼う老婆ミングルには頭があがらない。ある日、黒猫を虐めようとして逆に…

【創作のタネ】ひとの愚かしさのドミノゲーム-小松左京『復活の日』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 イギリスの細菌研究所で極秘裏に開発された新型ウイルス。盗み出したスパイたちは輸送中の事故で、ウイルスを全世界に拡散してしまう。有効な対抗策を見つけられないまま、人類の大半がウイルスの引…

【創作のタネ】ひとを信じた先にある希望-山本周五郎「山椿」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 作事奉行の仕事を卒なくつとめる梶井主馬は、下僚を集めた飲み会すらもあまり好まないかた苦しい男。そんな彼が須藤きぬという女性を嫁にもらった。新婚初夜の晩、花嫁を誘う梶井だが、彼女は拒否。…

【創作のタネ】少女がひた隠す怪異に願ったものの正体とは-西尾維新「ひたぎクラブ」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 高校3年生の阿良々木暦の前にひとりの少女があらわれる。彼女の名前は戦場ヶ原ひたぎ。自分に体重がない秘密を阿良々木に知られたことから、彼に対して非常に攻撃的な態度を取る。しかし阿良々木は…

【創作のタネ】文集に秘められた三十三年前の真実-米澤穂信『氷菓』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 省エネをモットーとする高校生・折木奉太郎は、なりゆきから古典部に入部する。そこで出会った少女・千反田えるや、友人の福部、伊原との交友を通じて、折木はいくつもの事件の解明に奔走することに…

【創作のタネ】逃げる犯罪者たちを待ち受ける運命とは-アーヴィン・S・コッブ「逃亡者と運命」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 場所はアメリカ。列車で護送される三人の外国人犯罪者。このあと彼らには本国への強制送還と、そこでの残酷な刑罰の運命が待ち構えている。フランス人にはギロチン刑。スペイン人にはベルトによる絞…

【創作のタネ】依怙地になった男のこころのうち-海音寺潮五郎「善助と万助」

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 黒田藩お抱え3家老のひとりに強情な男がいた。母里但馬だ。殿さまの黒田長政が新任の中老(家老の補佐役)を取り立てるので、仲良くしてやってくれと命じるが、この母里だけが首を縦に振らない。過…