Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【140字小説】#0064

彼女は背後からのしかかると、わたしのスカートのチャックをおろす。次は下着に手をかけた。互いに汗ばんでいるのが、セーラー服越しに伝わる。手が服のしたから差し入れられ、ハーフトップのなかにまで忍び入る。教室にあるものはふたりの呼吸の音だけ。遠…

【だいあり】米澤穂信最新作『王とサーカス』の予約が始まってる!

先日、『さよなら妖精』のなかでも触れた大刀洗万智ちゃんが主人公の『E85.2(仮)』、正式タイトル『王とサーカス』の予約が始まっております。米澤先生のファンのみならず、興味のあるかたは是非どうぞ! (^ω^) さくらたんはもう予約しましたとさ。 王…

【 本 】すげえ! ラーメンがナショナリズムにつながった!-『ラーメンと愛国』

みなさんは週に何回、ラーメンを食べますか?わたしは多いときでも週2食程度。しかも、汁系のラーメンはスープの匂いが体につくので、もっぱらつけ麺というヘタレです。それでもお世話になっているには違いない。 使い古された言い回しですが、日本人はラー…

【だいあり】『太陽を盗んだ男』は面白いんだって!

過去に、あっしも映画ベストランキング100を作りました。そのなかで99位、52位、53位で紹介した作品が、邦画ランキングを集計したこちらのサイトでは、ベスト1、2、3に入っていることを発見。うんうん、わたしの映画センスも捨てたもんじゃない♪ <a href="http://hakaiya.hateblo.jp/entry/2015/06/13/204656" data-mce-href="http://hakaiya.hateblo.jp/entry/2015/06/13/204656">邦画オー</a>…

【 本 】素人のアイデアをプロがリメイク、賛否もあった-『箱庭図書館』

シロウトさんの応募作品を、プロがアレンジすれば、こうなります。その名も「オツイチ小説再生工場」。……という企画のなかで誕生したのが、本作『箱庭図書館』。のっけから友井羊さんの解説文で恐縮ですが、 応募された素人の小説を乙一氏がリメイクするとい…

【140字小説】#0063

256億5120万個あるデータを走査し、パーツを厳選した。目はズキズキするし、吐きもした。その甲斐あって、セカイにただヒトリのビスクドールが完成する。全身を、頭を、胸を、指先を、かたどる優美なライン。ボクはひとり悦に入った。そんなボクをキミは嘲っ…

【 本 】エヴァも真っ青な情報操作、矛盾を内包するミステリアスな女性-『マグダラのマリア』

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の壁に残る、レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』。そのなかのこのひと(赤丸)。 拡大したものが以下。 ここに登場する、イエス・キリストと十二使徒は全員男性。……だと考えられてきました。少なくとも、聖書…

【140字小説】#0062

鳥居からまっすぐ参道を来ると、白い玉砂利を敷き詰めた拝殿の前に出る。辺縁に並んだ灯籠には炎が揺れる。夜空から降りてきて明るく照らす月影に玉砂利は青みがかった光を返し、足元から霧が湧きたつように世界を発光させる。にわかに周囲がさんざめく。ひ…

【創文メモ】ご挨拶&比喩

文章は、100人いれば100通りの書き方があります。まあ、そこには確かに上手、下手がありますが、それも個性のうちだと思って、書くのがいいんじゃないでしょうか。書かないことには上達もしません。 かく言うわたしだって、それほど得意ではありません。 表…

【140字小説】#0061

あなたが7を切るとき、わたしは8を出す。あなたがジャックなら、わたしはクイーン。あなたはわたしに勝てないの。小さいときからずっとそうだった。憮然とした顔も嫌いじゃないけど、ほら、一発逆転の方法がひとつある。4枚揃えて、早く革命起こしてよ。…

【 本 】意識高い系がもたらす喜劇、現代人の寓話-『ゴドーを待ちながら』

読んでいて、意味がわからなさすぎてワロタ!/(^o^)\で、読解モードのレベルをぐーんとあげたヨ。当分、このレベルでは書きません♪……疲れた。 『ゴドーを待ちながら』の概略 「パリ直輸入の爆笑コメディ」という謳い文句と共にアメリカで初日の幕を開いた…

【140字小説】#0060

彫刻刀を傾け、あなたの似姿を机に刻む。柔らかな目元はより柔らかく、高き鼻梁はより高く。カールした繊細な髪をまっすぐの刃で描くのは難しい。最後の仕上げに、わたしは人差し指の先を薄く一すじ切る。切り口から溢れ出す血を完成した肖像に流し込むと、…

【140字小説】#0059

中華屋の二階にある部屋から駆け降りる。階段には一段おきに猫が寝そべる。商店街のスピーカーは今日のウェザープランに変更があることを告げる。路上を往来するたくさんの民族衣装のあいだをすり抜け神社へと。ひとも通りもが満艦飾。大空には、曼荼羅を描…

【 本 】エブリバディ・ラブズ・ブックス!-『本は、これから』

最近、Amazonで電子書籍が50%オフの大盤振る舞いでした。Kindleの市場を広げようと、なかなか大胆なことをやりおります。 わたしの個人的な意見としましては、本来、紙の本と電子書籍は対立するものではありません。映画を観るときに、大画面好きは劇場に…

【 本 】「猫好きに悪い人はいない!」-『にゃんそろじー』

こんにちは、猫が好きなのに猫アレルギーという野々宮さくらたんです。 猫がそばにいると、最初はくしゃみ、そのうち発作がおきてくるので、結構シャレにならんス。でも、嫌いになれないんだよなあ。あのすべすべした頭やとんがった耳、歩くときなんかの艶め…

【140字小説】#0058

レイリー散乱によって赤くなった陽射しがひとけのない教室を満たす。すみが丸くカールした掲示板のプリントはまるで枯れ葉のよう。夏の火照りを秋が冷ますように、教室の体温も一日の終わりとともに拡散していく。貴方の残り香は最後にひときわ輝きを放つ。…

【140字小説】#0057

土でこしらえた人形に魂を吹き込む。彼は怪訝な表情を浮かべ、自分の両手を見て、指を開いたり閉じたりしている。首を巡らせわたしを見あげる。どうして自分がここにいるのかわからずに、腹を立てているようだ。わたしは声を出し、人形の運命を思って嗤った…

【雑 文】タイトルに惹きつけられた15冊、もちろん中身も保証します

先日、ご紹介した『創作の極意と掟』という本。そのなかに次のような箇所がありました。 6.【表題】古今東西、名作のタイトルを安易につけてはならん。でも、「作品1」「作品2」とか現代美術みたいなタイトルをつけると、あとで自分が困るよ。 <a href="http://just-melancholy.hatenablog.com/entry/2015/05/29/103857" data-mce-href="http://just-melancholy.hatenablog.com/entry/2015/05/29/103857">【 本 】</a>…

【マンガ】西尾維新の物語に漫画家たちの個性がトッピング-『大斬』

見ていると、毎月のように新刊が出ている気がする西尾維新さん。もちろん、そんなことはありませんが、そう錯覚させるくらい速筆であることは間違いないようです。こんなまとめサイトがあるくらいですから。 <a href="http://matome.naver.jp/odai/2133475127384680801" data-mce-href="http://matome.naver.jp/odai/2133475127384680801">作家・西尾維新の速筆伝説 - NAVER まとめ</a>matome.…

【 本 】これだけの顔ぶれが一冊で読めるのは短篇集だからこそ-『短編復活』

長編小説は、どれだけ興味のある分野でも、ときに重く感じます。 作者が決めたひとつのテーマとじっくり向き合うわけですから、読むほうもそれなりの覚悟が求められます。言うなれば、作者と読者の一騎打ち。 無理して読んでも、読後感にそれだけの余韻が残…

【雑 文】「我を崇めよ」、加藤保憲を生み出した怪作『帝都物語』

買おうかどうしようか、悩んでいるブツがあります。10,000円以上もするのですが、Amazonの日本映画では5位の売れ行き。SFカテゴリーにしぼるなら堂々のランキング1位です。(平成27年6月4日現在) そのブツとは、Blu-ray版『帝都物語』。 映画の原作をお…

【だいあり】千夜ちゃんをもっと大事にしましょう

近所のローソンでは、千夜ちゃんだけ余りまくってました。心愛の次に千夜推しのわたしとしては釈然としないのですが、まあ、いいでしょう。欲しかったのは全部ゲット!おかげで部屋には時ならぬチョコレートの在庫が。一番安い、100円のチョコ、9袋(商品3…

【 本 】読書好きな人が読むとこころが痛くなる-『読書について』

哲学者なんて、身体も動かさず、頭のなかだけでうじうじものを考える、なまっちろい、よく言えばデリケート、わるく言えばナイーブなひと。 だと、思っていました。 しかし、ショウペンハウエル『読書について』を読んだとき、こういう激しいひともいるのか…

【 本 】アイルランドミントの香り漂う儚き神話世界-『ペガーナの神々』

世界にある宗教は、大別すると一神教と多神教になります。 一神教は、砂漠や狩猟が行われていた地域に成立しました。生存環境が厳しく、みんなで集まって相談なんかしてた日には全滅しちゃうぜ、みたいな場所ですね。可及的速やかにジャッジをくだすには、な…

【 本 】まんが表現の極めつけ、これは辞典です!-『マンガの読み方』

1995年に発売された、ちょっと古い本なのですが。 まんがを「線」「記号」「言葉」「コマ」の要素から徹底的に分析しています。大学の論文というか、もはや一分野の研究レベル。あまりに内容が濃すぎて、頭がクラクラしてきます。 執筆者には、竹熊健太郎さ…

【 本 】メディアを行き来する作品たちの変容-『まんがはいかにして映画になろうとしたか』

表紙を見るとチャラい感じを受けますが、一応、大学の論文集。大塚英志さんの『まんがはいかにして映画になろうとしたか』。たまにこういうお堅いものも読みたくなる。 映画表現をマンガへと翻訳し続けた手塚治虫さん、石ノ森章太郎さん。その後、大勢の作家…

【だいあり】アニメも面白い!『有頂天家族』

小説が面白かったので、アニメも観ました。このオープニングからしてたまらん。すっごい上手。音楽も好き♪ちなみに ↑ の女子高生は「男」ですので(笑) 【歌詞付】有頂天家族OP「有頂天人生」 - YouTube 【 本 】面白きことは良きことなり!狸と天狗と人間…

【雑 文】夢っていらないでしょ? いやいや、夢って大事でしょ?

少し前に、タモリさんに関するこんな記事がネットに流れました。ちょっと長いですが、全文引用。 タモリが夢を持つ生き方を否定「夢があるようじゃ人間終わりだね」10日放送の「ヨルタモリ」(フジテレビ系)で、タモリが「夢を持つ生き方」について持論を展…

【 本 】イルカ跳ね、飛行機墜ちる南米の密林-『イルカと墜落』

沢木耕太郎さんには大変申し訳ない。古本屋で叩き売りされていました。 これまでにも『深夜特急』『人間の砂漠』『テロルの決算』などを読み、沢木さんの作風というか、文体に痺れておりました。ハードボイルドさ、苛酷さ、重さ、眼差しの暖かさなど。 しか…

【 本 】創作の「極意」と「掟」、31箇条を極限まで要約-『創作の極意と掟』

昨日書いた、筒井康隆『創作の極意と掟』へ興味をお持ちの方が多い。 【 本 】創作志望者には目からうろこがてんこもり-『創作の極意と掟』 - Just Melancholyjust-melancholy.hatenablog.com ですので、今日はこちらに31の「極意」と「掟」を極限まで要約…