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Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【 本 】ミニマリズムなDEATHTOPIA-『〔少女庭国〕』

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ミニマリズムという言葉をウィキると、以下のようにあります。

美術・建築・音楽などの分野で、形態や色彩を最小限度まで突き詰めようとした一連の態度を最小限主義、ミニマリズム(英: minimalism)という(ミニマリスムとも表記される)。1960年代のアメリカに登場し主流を占めた傾向、またその創作理論であり、最小限(minimal)主義(ism)から誕生し、必要最小限を目指す手法である。装飾的な要素を最小限に切り詰め、シンプルなフォルムを特徴としている。フランスの現象学の哲学者であるモーリス・メルロー=ポンティは、「ミニマリズムの哲学者」と呼ばれる。

わたしなりに完結に表現すれば「最小素材で表現の最大効果を狙うこと」になるでしょうか。

『〔少女庭国〕』
この作品は、それを小説で実践しているミニマリズム小説という言い方ができるかも知れません。
物語開始早々、読者にはあるルールが突きつけられます。

ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとするとき、n-m=1とせよ。時間は無制限とする。その他条件も試験の範疇とする。合否に於いては脱出を以って発表に替える。以上

 ナンノコッチャイ?
この物語の世界像を箇条書きにすると、こうなります。

  • 過去へ続く扉、未来へ続く扉、二枚の扉がある部屋。
  • どちらの扉の向こうにもまた同じ部屋がある。
  • その連なりには終わりが存在しない。
  • ひとつの部屋には必ずひとりの少女が寝ている。
  • 最初の少女だけは自発的に目を覚ます。
  • 最初の少女が未来の部屋に移動すると、その部屋の少女も目を覚ます。
  • 以降、同じ条件で無限の数の少女が目を覚ます。
  • 原則、部屋は現在から未来へしか移動できない。


最初のルールを具体的に書くと、こんなふうになります。
一番最初に目覚めた子が、次の部屋のドアを開けます。
すると、そこには二番目の少女が寝ていて、彼女も目覚めます。
これで「ドアの開けられた部屋の数:n=2」になりますね。
ここでどちらか一方が死ねば、「死んだ卒業生の人数:m=1」となり、与えられた数式「n-m=1」が成立します。
試験は見事合格。


ただ、死ぬとといっても水も食料も存在しない空間なので、基本、老衰ってことはあり得ません。そこまでは生き延びられない。従って、死ぬほうは「餓死」か「殺される」か「自殺する」しか選択肢がありません。

そのうえ、人数が少なければ、最小労力で試験がクリアーできるのに、不安から未来への扉をガンガン開けまくり、女の子の数を無闇に増やしちゃう子もいたりします。
でも、生き残っていいのは、数式通り、最後のひとりだけ。
そうなると、早い話、少女限定『バトル・ロワイアル』の世界が繰り広げられるわけです!

水も食料もありませんから、自分の排泄物や死んだ友達の体を食べながら生きながらえるというすさまじい状況にもなります。それでも少女たちはいくたびの試行錯誤を繰り返し、新しい技術を獲得していきます。少女たちは一大文明へと築きますが、そこには身分制社会の不満も湧き起こり、やがて革命の兆しが見えてきます……。

とか書いていると、ナンカコレ、わたしたちがこれまでに辿ってきた歴史の「箱庭」ヴァージョンなんじゃネ? と思えてきます。だから、題して「少女<庭>国」なのです。

少女たちが殺し合い、全員が死に絶える。すると、またひとりの少女が新たに目を覚まし、未来への扉を開きます。うーん、救いなき煉獄!DEATHTOPIA!

かなり実験的な作品ですが、従来の小説では飽き足りないかた、一方で、ホラー小説をこよなく愛するかたには楽しんでもらえるのではないでしょうか。

オススメです♪

表紙を飾っているイラストがきゃわわなんだよね♡
まあ、わたしもそれに騙された口なんですが(騙されたひと、けっこう多いみたい)。