【140字小説】#0043
踏切を越え、しばらく行ったところにその本屋はあった。おもての通りにひとの往返はないのに、店の中はとても賑わっている。棚に並ぶ本はどれも見たことがない。何て胸はずむ本屋だろう。そうか。ここへ入るひとはいても、出ていくひとはいないのだ。私は棚の隙間の出口なき迷路をとこしえにさまよう。
踏切を越え、しばらく行ったところにその本屋はあった。おもての通りにひとの往返はないのに、店の中はとても賑わっている。棚に並ぶ本はどれも見たことがない。何て胸はずむ本屋だろう。そうか。ここへ入るひとはいても、出ていくひとはいないのだ。私は棚の隙間の出口なき迷路をとこしえにさまよう。