Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【 本 】自分の見た目が気になる気になる-『卒アル写真で将来はわかる』

卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学

 

 ひとは見かけによらぬもの、見た目でひとを判断するな、名は体をあらわす、目は口ほどに物を言う、『人は見た目が9割』、見掛け倒し、猫かぶり、名実一体……などなど。これらはみな、ひとの内面と外面がどれくらいかけ離れているか、あるいは似通っているかを示した言葉です。だれもが、目の前に座っているひとが果たして見た目通りなのか、逆にその期待を裏切るのかで悩んだ経験を持っているはずです。


 そんな個人的予測以上に、たとえば、殺される顔、殺す顔にタイプがあったらどうしますか?果たして、自分がどちらに属するのか気になりますね。目の前で滔々としゃべるひとが嘘つきなのか、真実を語っているのか。昨今の世知辛い世の中で、とても身近な関心事です。もし、業績を伸ばす会社の社長さんの見た目に共通した特徴があるなら、就活するときのひとつの判断材料になるかもしれませんよ。


 本書『卒アル写真で将来はわかる』ではそんな事例を種々見ることができます。決して胡散臭いトンデモ本ではなく、学術的研究において有意的統計値として確認されたものだけを紹介しています。うえに書きました、殺す顔と殺される顔の場合。殺人事件の被害者の頭蓋骨を二〇〇以上調べました。すると、殴り殺されている男性に細顔が多いという傾向が浮かびあがったのです。女性にはこの統計はあてはまらなかったそうです。


 わたしはひとの見た目と性格には相関関係があると思っています。学問的な見地からではなく、マンガが根拠です。腕っ節の強いジャイアンがゴリラで太っちょ、ずるいスネ夫がキツネでツンツンヘアー、抜けているのび太がタヌキで丸メガネ。これを見たわたしたちは違和感を感じません。ひとの性格がおもてに出ることを理屈ではなく、体感として理解しているからこそ、キャラクターの造形をすんなり受け入れられるのです。


 ひとを見た目で判断できるのか。そうならどこがポイントになるのか。逆に、自分は何を注意すれば、他人に与える印象を変えられるのか。そうしたことに興味があったり、学問的にどこまで研究が進んでいるかを知りたいひとに本書をオススメします。ただし、本書ではさわりしか書かれていませんので、本格的に学びたいひとはその先の専門書にあたる必要があるでしょう。巻末の出典を記した注はボリュームがあり参考になります。


 著者も書いていることですが、ひとつの傾向がすべてに当てはまるわけではありません。それこそ数学の公式ではないのですから。では、無視できるほどに無関係かというとそうとは言い切れない統計データが集まることも事実なのです。ひとによってはこれを矛盾と見なすかもしれませんが、そうした大いなる矛盾に切り込んでいくのが学問の醍醐味でしょう。いつの日か、わたしたちの顔から性格がこまかく明らかになる日が来るかも?

 

卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学

卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学