Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【面 白】逃げる犯罪者たちを待ち受ける運命とは-『逃亡者と運命』

監視者 (恐怖と怪奇名作集)

今月から「あなただけが知らない物語」というコンセプトで、小説を中心にさまざまな作品を紹介していきたいと思っています。なので、過去に紹介してきたような小難しい人文学書や新書のたぐいは控え目に……本当に面白いものがあれば随時ご紹介しますけどね(紹介するんかい!)。

 
それでは、「あなたがまだ読んでいない面白い物語」第一回目は、アーヴィン・S・コッブ『逃亡者と運命』です。わたしはこの作品を児童書である、岩崎書店の《恐怖と怪奇》シリーズで読んだのでこのようなタイトルになっていますが、原題は「Faith, Hope and Charity」で、大人向けの短編集では「信・望・愛」で収録されていますね。子供向けにこのタイトルではちょいと難解ということで改変したのでしょう。


場所はアメリカ。列車で護送されている三人の外国人犯罪者が逃亡を企てます。彼らが本国に強制送還されたあかつきには、それぞれに残酷な処分が待っているからです。


フランス人はギロチン刑だそうです。さすがフランスですね。しかし一瞬で死ねるだけマシだとスペイン人は言います。彼が本国に送られた日には、首に巻いたベルトのネジをきりきりと少しずつ絞め上げ、最後には窒息死させられるといいます。吊るされる絞首刑より悲惨! ところがもうひとりのイタリア人は、いずれにしたって死ねるのだからいいと主張します。彼をイタリアで待っている刑は、物音ひとつしない独房に死ぬまで閉じ込めておくこと。


大同小異。何にせよ彼らの未来にはろくでもない最期が口をあけているのです。ノー・ウェイ・アウト。これなら機会を見つけて逃げるのもいたしかたなし。三人はふたりとひとりになってバラバラに逃亡します。ところがその先にもまた思いも寄らない結末が手ぐすね引いて待ち構えていたのです。


ここで紹介する作品は、あくまでもわたし目線ではありますが、面白いと思った作品だけ。この『逃亡者と運命』も「え、そういうオチなの?」と少なからず衝撃を受けました。丹念に読み込んでも30分もかからず読み終える長さで、なおかつ面白い。


作者のコッブは25年にわたる作家生活で、60冊を超える本を書いているそうですが、日本ではあまり馴染みがありませんね。これまで未経験の作家に手を出してみたいひと、夏場にちょっと怖い話を読んでみたいひとにオススメです。 

監視者 (恐怖と怪奇名作集)

監視者 (恐怖と怪奇名作集)

 
世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)