【140字小説】#0029
お祭りの人混みを友人たちと連れ立って歩く。誰かとすれ違った刹那、そのひとの指がわたしの手首を軽く摘んだ。振り返るがどのひとかもう分からない。しばらくしてから、友人たちにそのことを言うと、それは痴漢だ、いや掏摸だ、とかまびすしい。わたしが触れられてときめいたことは内緒にしておいた。
お祭りの人混みを友人たちと連れ立って歩く。誰かとすれ違った刹那、そのひとの指がわたしの手首を軽く摘んだ。振り返るがどのひとかもう分からない。しばらくしてから、友人たちにそのことを言うと、それは痴漢だ、いや掏摸だ、とかまびすしい。わたしが触れられてときめいたことは内緒にしておいた。