【140字小説】#0031
沸騰した草の匂い。凹凸のある原野に躓かぬよう、視線を足元に固定する。いつの間に立ち止まったか、私はその背中にぶつかる。夏は生命がその本然を剥き出しにする。あらゆるものが原色で描かれ、息苦しい。いつかこの道行きが懐かしくなるその日まで、私は背中をひたすらに追いかけて行こうと決めた。
沸騰した草の匂い。凹凸のある原野に躓かぬよう、視線を足元に固定する。いつの間に立ち止まったか、私はその背中にぶつかる。夏は生命がその本然を剥き出しにする。あらゆるものが原色で描かれ、息苦しい。いつかこの道行きが懐かしくなるその日まで、私は背中をひたすらに追いかけて行こうと決めた。