【 本 】ひとを忘れた会社に明日はない-『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』
結論はひとつ。
会社はひとでできている。
ひとにテコ入れしよう。
ツールとしてのグラフやチャートをいくら用いても会社に変化は起こせない。
変化がないどころか、多分に抵抗を誘発し、改悪へ転がる。
ひとにテコ入れするといっても、さほど難しいことが必要なわけではない。
要するに、相手の顔を見る、心からの成長を願う、困っていることに手を差し伸べる。
これだけだ。
こんな泥臭いことがすべて。
ひとを数字で追い込めば、相手はどのような奇策・詭計でも用いる。
それが法律に抵触しようとも。
なぜ、そのときだけ経営陣は部下の誠意に甘えるか。
「体重を10キロ減らす」が必達目標ならば、健康を損なってでも達成しようとする。
「体力をつけ、心身の健康状態を改善する」という定性目標の素晴らしさ。
それは、いつまでも達成できないから、努力し続けなければならないことだ。
財務の指標などを自動車のダッシュボードになぞらえることがある。
まさにその通り。
ダッシュボードだけを見て、道路を見ずに運転していたら車は衝突してしまう。
可視的な目標にとらわれることの危うさを鷲田清一も指摘する。
せっかちは、息せききって現在を駆り、未来に向けて深い前傾姿勢をとっているようにみえて、実は未来を視野に入れていない。未来というものの訪れを待ち受けるということがなく、いったん決めたものの枠内で一刻も早くその決着を見ようとする。待つというより迎えにゆくのだが、迎えようとしているのは未来ではない。ちょっと前に決めたことの結末である。決めたときに視野になかったものは、最後まで視野に入らない。頑なであり、不寛容でもある。やりなおしとか修正を頑として認めない。結果が出なければ、すぐに別のひと、別のやり方で、というわけだ。(『「待つ」ということ』)
ドワイト・D・アイゼンハワーの言葉。
戦闘準備において、作戦そのものは役に立たないことをつねに思い知らされたが、作戦を立てる行為こそが重要だ。
大事なものは作戦という「成果物」ではない。
それを組み立てるまでの「プロセス」だと言っている。