【140字小説】#0044
眼下に広がる町並み。どこまでも高い建物はなく、彼方に山の影がおぼろに浮かぶ。切り立つ崖のあいだを抜けたところにこの寺はある。町の東北、鬼門に在所し、永に渡り町を守り続けてきたという。今も足元からかたちを持たぬものたちの息吹が微弱な電流のようにわたしを貫き、交わりを求めて、触れる。
眼下に広がる町並み。どこまでも高い建物はなく、彼方に山の影がおぼろに浮かぶ。切り立つ崖のあいだを抜けたところにこの寺はある。町の東北、鬼門に在所し、永に渡り町を守り続けてきたという。今も足元からかたちを持たぬものたちの息吹が微弱な電流のようにわたしを貫き、交わりを求めて、触れる。