Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【140字小説】#0046

周囲を取り巻く山々へ文字の形に火が灯される。点火のたびに、病院の屋上に見学で集った人々の口から歓声があがった。ある山の順番に来たとき、それが阿鼻叫喚へと変わる。どんな文字が描かれたものか、ひとの背に隠れたわたしには見えない。巨大な翼を持つものが暗夜を禍々しき叫声とともに飛翔する。

綾辻行人『深泥丘奇談』より