Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

米澤穂信

【創作のタネ】文集に秘められた三十三年前の真実-米澤穂信『氷菓』

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 【あらすじ】 省エネをモットーとする高校生・折木奉太郎は、なりゆきから古典部に入部する。そこで出会った少女・千反田えるや、友人の福部、伊原との交友を通じて、折木はいくつもの事件の解明に奔走することに…

【 本 】知るとは何か? 伝えるとは何か? 現代社会の普遍的テーマを描いた名作-『王とサーカス』

発売されたばかりの本なので、あえて曖昧に書いています。わかりにくい文章である点は、ご容赦ください。 太刀洗万智。新聞社を辞めたばかりの彼女は、ネパールのカトマンズにいた。雑誌社からの依頼で、海外旅行の記事について取材するためだ。投宿した宿の…

【 本 】子供が信ずるもの、大人が信ずるもの-『リカーシブル』

都会から坂牧市へ引っ越してきた三人の親子。越野ハルカと弟・サトル、そしてふたりの母。坂牧市はシャッター商店街を町の中心に持つ、没落しつつある典型的な地方都市。道路ぎわには高速道路誘致を訴える看板。子供の数が減り、空き教室を抱える学校。ハル…

【 本 】ただ走るには長すぎる、すれ違う心の距離-『ふたりの距離の概算』

5月末の今日は、二〇〇〇〇メートルの距離を走りぬくマラソン大会、称して、神山高校星ヶ谷杯。大会にうんざりする一方で、折木にはどうしても今日中に決着をつけねばならないことがあった。それは新入部員の進退問題。2年生になった古典部メンバーが初め…