本
///1980年代のアメリカには、ちょっとした猟奇ミステリーのブームがあった。1988年、不世出の殺人鬼ハンニバル・レクターを描いた『羊たちの沈黙』。1987年、拷問と胴体切断で殺害されたエリザベス・ショートの事件を題材にした『ブラック・ダリア』。そ…
///富江の悪夢はまだまだ終わらない。わたしが持っている朝日ソノラマ版でも、あるいは朝日新聞出版版でも『富江』に関しては2巻分が割り当てられています。それだけ富江に関する作品数が多く、また伊藤潤二先生の彼女に対する思い入れも強いってことで…
///奇想に次ぐ奇想で読者を圧倒してくれる伊藤潤二先生。その伊藤先生のもはや代名詞と言っても差し支えない、デビュー作『富江』。今さら、本作について細かい解説は不要だと思うが、念のためWikiのものを掲載しておく。肉片がひとつひとつ再生していく…
///ご自身、「幽霊」が見えてしまうのだという加門七海先生。幸いにしてというか、不幸にしてというか、わたし自身は一度も見たことがないんだけどね。見たことがないくらいだから、こうして怖い物語をみなさまにご紹介できるようなわけで。これ、実際に…
///クイズです。ここに書かれた詩にはあるテクニックが使われている。はて、それはナンダロカ? 答えはブログの最後で! 夢に津和野を思ほえば見よ城跡へうすけむり泣く子寝入るや鷺(さぎ)舞ふ日遠雷それて風たちぬ 安野光雅(関容子「再会の手帖」、幻…
///前作『デブを捨てに』からほぼ一年半ぶりの新作。待ち遠しかったあ! 早くしないと、体の平山エキスが底を尽いてしまう。今じゃ、わたしの読書傾向をビッグデータやらナノマシンやらで把握しているAmazonが「新作出るぞ、早く予約せいやーっ!」とプッ…
///三夜連続の怪談を読んでもらって、少しは涼しくなりましたか? 中山昌亮さんの作品には『後遺症ラジオ』なんてものもあります。こちらも近いうちに作品紹介として記事をアップしますのでご興味のある方はご一読くださいね♡ 不安の種 (3) (ACW champion…
///今日も暑い、暑い。夏に怪談をするのは、怖い話を聞きひやっと涼しくなるため……ではありません。夏場の舞台小屋はお客さんの入りが少ないので怪談というイロモノを始めたのがそもそもの発端なんですね ( ^ω^ ) 不安の種(2) ぼーの章 (チャンピオンR…
///真夏の夜に贈る、清涼読み物。ほかの話が気になるひとは、原作をお買い求めくださいね♪ 不安の種(1) フタの章 (チャンピオンREDコミックス) 作者: 中山昌亮 出版社/メーカー: 秋田書店 発売日: 2013/06/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ…
///ひっさびさにすっげえ本を読んだ! 一刻もはやくみなさんにお伝えしたい! ///中根千枝『タテ社会の人間関係』。タイトルだけ見ると、ちょっとお手軽なビジ本、自己啓発本を想像しちゃうかもしれないけど、すンごく中身が濃い。そのわりに、難しい…
///西尾維新『大斬』。小畑健、中山敦支、金田一蓮十郎ほか総勢9名のマンガ家たちがそれぞれのイマジネーションを駆使し、西尾維新さんの原作にビジュアルの血肉を与える。コメディあり、ホラーあり、青春あり。とても一冊のマンガとは思えない内容の幅…
///文章を書くにあたり、大事なのは、1に、わかり易さ、2に、わかり易さ、3、4がなくて、5に、ボキャブラリーだと個人的には思ってます。///わかり易い文章ってのもたいがい加減が難しく、わかり易すぎて幼稚だったり、馬鹿丁寧すぎてくどかった…
///今どきキリスト教を愛の宗教だと無邪気に信じているひとも少ないのではないでしょーか。だって、これだけキリスト教を信奉する国が世界中で戦争している姿を見ればねえ。それもいたしかたなし。同じ原理主義をかついでいることでいえば、イスラム教な…
///初見で『富江』というタイトルを見て食指を動かされるひとって、そんなに多くないと思う。「どんな演歌?」みたいな。でも、騙されたと思って、読んで、騙されてください、「すっごいおもしろい!!!」と。///主人公の川上富江は、こころもちつりあが…
渠(かれ)は名を竹中時雄と謂った。 奥さんには三人目の子供ができ、新婚のときめきって何? 食べられるもの? という今日このごろ、みなさまにおかれましていかがお過ごしでしょうか、竹中時雄ですという話。 彼、竹中時雄は仕事にも身が入らないし、同じ…
発売されたばかりの本なので、あえて曖昧に書いています。わかりにくい文章である点は、ご容赦ください。 太刀洗万智。新聞社を辞めたばかりの彼女は、ネパールのカトマンズにいた。雑誌社からの依頼で、海外旅行の記事について取材するためだ。投宿した宿の…
都会から坂牧市へ引っ越してきた三人の親子。越野ハルカと弟・サトル、そしてふたりの母。坂牧市はシャッター商店街を町の中心に持つ、没落しつつある典型的な地方都市。道路ぎわには高速道路誘致を訴える看板。子供の数が減り、空き教室を抱える学校。ハル…
幼いときに家族を失ったせいなのか、その奇行が有名なレスター・バラード。競売で自宅も失い、山中のあばら屋に移り住む。夜には氷点下にもなる酷寒に毛布一枚。針金ハンガーに突き刺したジャガイモの薄切りをランプの炎で炙る。口に入れると灯油の味がする…
そうそう、昨日は、本当は『メルキオールの惨劇』についてご紹介しようとしていたんです。それがいつの間にか民主主義の話になってしまい、大変申し訳なく思っています。ちょっと執筆の裏話をしますと、書いているあいだ、さくらさんは安保法案可決のことな…
5月末の今日は、二〇〇〇〇メートルの距離を走りぬくマラソン大会、称して、神山高校星ヶ谷杯。大会にうんざりする一方で、折木にはどうしても今日中に決着をつけねばならないことがあった。それは新入部員の進退問題。2年生になった古典部メンバーが初め…
松岡正剛さん。テレビ番組に出演したり、クールジャパン座長代行を務めたり、マルチに活躍なさっていますが、その肩書を一言でいうと編集者。情報をどのように集め、ハンドリングし、そして、その先へ展げていくか。そうしたことを目論む「編集工学」という…
ナチスが行ったホロコーストは、ユダヤ人の虐殺ばかりが取りあげられますが、それだけでは収まらない国家的殺戮でした。ユダヤ人のほかにも、民族としてはスラヴ人やロマ(いわゆる、ジプシー)、社会属性的には無職や浮浪者、思想面からは政治犯や特定の宗…
自分が救われるためには、普段は蔑んでいるものまで利用する。 これは、現代社会などと大風呂敷を広げずとも、わたしたちの身の回りで日常的に垣間見ることができる光景です。大変短い物語であるにも関わらず、そうしたひとの醜悪さを見事に浮き彫りにした一…
海外の書籍を見たときに、ハードカバーのように値が張る本でなければ、表紙がつくことはまずありません。文庫などのお手軽な本にまで表紙や栞の紐(スピンといいます)がつくのは、日本だけでしょう。それでも本の機能面を優先するひとは、表紙や帯などは読…
犯罪は犯罪です。弁護する気はありません。また、今回の投稿に絡めて『絶歌』の出版に対する意見を述べるものでもありません。 もっとシンプルに、本書を通じ、マスコミが喧伝する加害者の〈姿〉と〈実像〉のズレに戸惑いを覚えました。今までに抱いてきた価…
ときに1972年。 PLO過激派の「ブラック・セプテンバー」が、ミュンヘン・オリンピック選手村を襲撃、イスラエル選手団11名を殺害。 これに激怒した当時のイスラエル首相ゴルダ・メイアのくだした判断。 報復。 イスラエル諜報組織モサドはただちに暗殺チ…
ちょっと前、週刊アスキー印刷版の終了とともに、『電脳なをさん』もまた最終回を迎えてしまいました(週アスはデジタル版として残ります)。 ちょっと下品な回も含め、好きだったなあ『電脳なをさん』。オマージュ? パスティーシュ? パクリ?元のマンガ作…
朝日新聞の名物コラム 朝日新聞に「小原篤のアニマゲ丼」という週刊コラムがあります。マンガ・アニメ界隈のそのときどきの話題を中心に、作品紹介、作品解釈、背景事情、ついでに邦画紹介などもある、とても面白い読み物です。 <a href="http://www.asahi.com/culture/columns/animagedon/" data-mce-href="http://www.asahi.com/culture/columns/animagedon/">小原篤のアニマゲ丼一覧 - カ</a>…
みなさんは週に何回、ラーメンを食べますか?わたしは多いときでも週2食程度。しかも、汁系のラーメンはスープの匂いが体につくので、もっぱらつけ麺というヘタレです。それでもお世話になっているには違いない。 使い古された言い回しですが、日本人はラー…
シロウトさんの応募作品を、プロがアレンジすれば、こうなります。その名も「オツイチ小説再生工場」。……という企画のなかで誕生したのが、本作『箱庭図書館』。のっけから友井羊さんの解説文で恐縮ですが、 応募された素人の小説を乙一氏がリメイクするとい…