【創作のタネ】キートン最初の事件-浦沢直樹「迷宮の男」
【創作のタネ】以下はネタバレになります。
【あらすじ】
ギリシアでひとりの男が崖から墜落死する。男には高額な保険金が掛けられていたが、その受取人に不審点が浮かぶ。大学講師と保険調査員という異色の顔をもつキートンは、事件の真相を調べるため現地に派遣される。キートンは男の恋人に会う。彼女は、男が事故死ではなく殺害されたと訴える。彼がなぜギリシアの僻村に固執するのか。女の言葉が男の過去を明らかにしていく。その頃、物騒な連中が女とキートンを包囲しようとしていた。
【創作のタネ】
男の死の真相とは何か? 保険金の受取人と死んだ男は傭兵時代の上官と部下だった。男は上官の命令を守らず、部隊に大損害を与えた。その心理的な引け目が、男を死なざるを得ない立場に追い込んでいたのだ。ところが、キートンと保険金の受取人もまた、軍隊時代の教官と生徒という関係にあった。温厚なキャラが実力のヒエラルキーで頂点に立つという種明かしが読者を驚かす。これ以外にも、たくさんの雑学が読者の興味を逸らさない。
《争いごとに無縁そうなキャラが強かったと明かされる快感。》