【創作のタネ】わたしは「わたし」に異議を申し立てます-藤子・F・不二雄「自分会議」
【創作のタネ】以下はネタバレになります。
【あらすじ】
青年は安アパートで部屋を借りる。ところが、はじめて見る部屋のはずなのに過去に連れて来られた覚えがある。怪訝に思っているところへ、宙からひとりの男が姿をあらわす。彼は、9年後の未来からやってきた青年自身だと名乗る。そして、まもなく遺産として手にするであろう時価総額3億円の山林を売却し、その金を自分に預けろと青年に迫る。承服しかねる青年と9年後にあらためて金を受け取れるのだからと説得をするもうひとりの自分。
【創作のタネ】
金の行方はどうなる? 遺産を巡ってすったもんだしているふたりのもとへ23年後の自分と33年後の自分まで登場する。それぞれが暮らす時代の事情から、山林のまま保有するか、現金にするか、はたまた宝石にするかで議論は紛糾。そこに幼少時代の自分が連れて来られる。子供の前でいがみ合う大人たち。彼らの醜い争いに恐怖した少年は窓から飛び降りて死ぬ。少年の未来に存在した青年も男たちもすべて消え、空っぽの部屋だけが残る。
《わたしの敵は「わたし」。もしくはわたしのクローン。》

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1) ミノタウロスの皿
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