Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【創作のタネ】食糧が足りなければ、食べる者を減らせばいい-藤子・F・不二雄「間引き」

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(2)定年退食

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 

【あらすじ】

人口が増え、食糧事情が悪化する日本。食糧の配給制が復活する。コインロッカーの管理人は妻と弁当のことでひと悶着を起こし、イライラしながら出勤する。職場にはひとりの新聞記者が来ていた。近年流行しているコインロッカーへの捨て子の取材だった。なぜこんな事件が増加しているのか、持論を開陳する記者の前で殺傷事件や学生カップルによる捨て子事件が発生する。口減らしでロッカーに捨てるなら、焼け石に水だと管理人は笑う。

【創作のタネ】

続きを読む

【創作のタネ】キートン最初の事件-浦沢直樹「迷宮の男」

MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)

【創作のタネ】以下はネタバレになります。

【あらすじ】

ギリシアでひとりの男が崖から墜落死する。男には高額な保険金が掛けられていたが、その受取人に不審点が浮かぶ。大学講師と保険調査員という異色の顔をもつキートンは、事件の真相を調べるため現地に派遣される。キートンは男の恋人に会う。彼女は、男が事故死ではなく殺害されたと訴える。彼がなぜギリシアの僻村に固執するのか。女の言葉が男の過去を明らかにしていく。その頃、物騒な連中が女とキートンを包囲しようとしていた。

【創作のタネ】

続きを読む

【創作のタネ】わたしは「わたし」に異議を申し立てます-藤子・F・不二雄「自分会議」

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1) ミノタウロスの皿

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 

【あらすじ】

青年は安アパートで部屋を借りる。ところが、はじめて見る部屋のはずなのに過去に連れて来られた覚えがある。怪訝に思っているところへ、宙からひとりの男が姿をあらわす。彼は、9年後の未来からやってきた青年自身だと名乗る。そして、まもなく遺産として手にするであろう時価総額3億円の山林を売却し、その金を自分に預けろと青年に迫る。承服しかねる青年と9年後にあらためて金を受け取れるのだからと説得をするもうひとりの自分。

【創作のタネ】

続きを読む

【創作のタネ】現代のグレゴール・ザムザの顛末-ジョー・ヒル「蝗の歌をきくがよい」

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 

【あらすじ】

ある朝、フランシス・ケイが喜びに満ちた夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。彼を見て気絶する父親とその愛人のもとから一旦は逃げ出し、身を隠すフランシス。しかし猛烈な空腹を抱えて再度実家に戻ったところ、父親がショットガンを手に射殺しようと待ち構えていた。フランシスは父親に体液を浴びせ溶かすと、その肉汁を啜り空腹を満たす。愛人の女のことは切り刻んで殺す。

【創作のタネ】

続きを読む

【創作のタネ】家族との距離感が難しい、高齢化社会に一石を投ずる-藤子・F・不二雄「じじぬき」

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1) ミノタウロスの皿

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 

【あらすじ】

妻に先立たれたお爺さんのガンさんは、息子一家のなかで煙たがられている。食事がなかったり、別居を示唆されたり。小さな嫌がらせにガンさんもまた依怙地になる。あるとき、孫の嘘が引き起こした騒動で、彼と家族のあいだに決定的な亀裂が入る。雨のなか、あてつけで釣りに行くと、体調を崩し死んでしまう。しかしそれは彼を気の毒に思う妻が死亡を繰り上げたためだった。悲しむ一家のようすを見たガンさんは生き返ることを決意する。

【創作のタネ】

続きを読む