Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【140字小説】#0067

本を開くと、星の形をした砂がこぼれた。ページからは熱帯の陽射しが立ちのぼらせる潮風のコロンが香る。深い切れ込みのあるワンピースからのぞくすらっとした脚。砂浜に残された可愛らしい足跡のような活字の隙間に見え隠れする小麦色のきみ。インクが陽炎のように宙へ漂い、きみもまた白紙になった。