Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【140字小説】#0031

沸騰した草の匂い。凹凸のある原野に躓かぬよう、視線を足元に固定する。いつの間に立ち止まったか、私はその背中にぶつかる。夏は生命がその本然を剥き出しにする。あらゆるものが原色で描かれ、息苦しい。いつかこの道行きが懐かしくなるその日まで、私は…

【140字小説】#0030

遠くで花火のあがるドーン、ドーンという音がする。しかし、この部屋には沈黙が広がるだけ。世界から切り離されてしまったかのようだ。ほんの少し前まではあんなに騒がしかったのに。どれだけわたしが懇願しても、あのひとの拳は振りかざされた。今はソレも…

【 本 】ジブリの裏監督、鈴木敏夫-『映画道楽』

どれほどの天才であっても、ひとりでは種々不都合があります。才能が申し分なく活躍できる場を与えるために、それ以外の雑事を一手に引き受けてくれるひとたち。 それが女房役。 ホンダの創業者・本田宗一郎さんを財務や営業で支えた藤沢武夫さん。小泉純一…

【雑 文】『思い出のマーニー』、萌え死にです、また観に行きます。

出遅れましたが、『思い出のマーニー』を観てきました! 昨今の流行りに乗っかって「ついにジブリも百合かっ!」と色めきたったわけですが、もちろんそんなこともなく。 そんなけがらわしい大人の欲望を浄化させてしまうくらいの素晴らしい物語。 劇場を出て…

【140字小説】#0029

お祭りの人混みを友人たちと連れ立って歩く。誰かとすれ違った刹那、そのひとの指がわたしの手首を軽く摘んだ。振り返るがどのひとかもう分からない。しばらくしてから、友人たちにそのことを言うと、それは痴漢だ、いや掏摸だ、とかまびすしい。わたしが触…