Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【雑 文】タイトルに惹きつけられた15冊、もちろん中身も保証します

先日、ご紹介した『創作の極意と掟』という本。
そのなかに次のような箇所がありました。

6.【表題】
古今東西、名作のタイトルを安易につけてはならん。でも、「作品1」「作品2」とか現代美術みたいなタイトルをつけると、あとで自分が困るよ。

 

just-melancholy.hatenablog.com

 

わたしは本を買うときに、ジャケ買いというんですか、表紙の素敵度合いで買ったり、もっとひどいとタイトルだけで選んでいることも結構あります。

どれだけ内容が素晴らしくても、タイトルで読者に拒否られれば、その本の生命は、さしあたり、その時点で終了です。
遠い将来、またどんなめぐり合わせで読むことになるかはわかりませんが。

ですから、読ませるきっかけとしてのタイトルはやはり重要。
今日は、わたしの少ない読書歴のなかから、非常に魅惑的なタイトルの本たちを15冊ご紹介。

タイトルのカッコよさとは、言霊のちからを感じる一瞬でもあります。 

 

『飢餓同盟』安部公房

買ったときは、極限状況下でのひとびとのようすを描いたのかしら、と。武田泰淳ひかりごけ』みたいな。作品中に登場する「ひもじい同盟」の名前がタイトルのようになります。

飢餓同盟 (新潮文庫)

飢餓同盟 (新潮文庫)

 

 

『自壊する帝国』佐藤優

著者の佐藤優さんは、外務省の元外交官でソ連に赴任していました。帝国とは、この場合、もちろんソ連のこと。ロシアの帝国はロマノフ朝で断絶してます。プーチンは皇帝のようですけど。 

自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)

 

 

屍鬼小野不由美

土葬の村で、死体が起き上がってくる話? 日本版ゾンビ? まあ、当たらずと言えども、遠からず。のちに、本作がキング『呪われた町』へのオマージュだと知り、わたしは狂喜乱舞。 

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)

 

 

『震度ゼロ』横山秀夫

震度がゼロ。こういう逆説的な表現っていいですよね。揺れが顕在化したときの怖さを感じます。横山さんの一連の警察小説を、警察関係者は作り話だと笑って済ませているのでしょうか。

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

 

 

世界の中心で愛を叫んだけものハーラン・エリスン

その昔、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で同様のタイトルが使われ、一般層での認知度がアップしました。ちなみに、わたしは読む直前まで「叫ぶ者」だと思ってた愚か者です。 

 

『デブを捨てに』平山夢明

ご本人は出版社のインタビューで、ボリス・ヴィアン『墓に唾をかけろ』や『醜いやつらは皆殺し』のタイトルのような作品を書きたくて書いた、と答えています。タイトルは改めて重要。 

デブを捨てに

デブを捨てに

 

 

チーム・バチスタの栄光海堂尊

心臓病の患者さんへの心室形成術、バチスタ手術がタイトルの由来。次作『ナイチンゲールの沈黙』がとんでもない作品だったので、わたしはこのシリーズをここでやめてしまいました。 

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

 

 

『「狂い」の構造』春日武彦平山夢明

精神科医・春日武彦さんと作家・平山夢明さんの対談本。猫を飼うときに、三匹までなら、まあ、正常。これが四匹目になるというヤバい、という「狂い」の喩え話が妙に腹落ち。 

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

 

 

悪の教典貴志祐介

言ってしまえば、先生版ターミネーター、もしくは先生版バトル・ロワイアル。映画は観てませんが、伊藤英明さんってちょっとこころを病んでる感じがするので、ぴったりな配役かと。 

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

 

 

『光あるうち光の中を歩め』トルストイ

ラノベのタイトルには使えないかな? 直球の清々しいタイトルで大好きです。出典は、聖書「ヨハネ福音書12:35-36節」から。人生につまずいた主人公がキリスト教に目覚める話。 

光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

 

 

『テロリストのパラソル』藤原伊織

本作品と野沢尚魔笛』がごっちゃになってしまいます。本作は新宿の西口公園で爆弾テロ、『魔笛』は渋谷のスクランブル交差点で2,000個の鉄球が人々を殺傷。どっちも面白いです。 

テロリストのパラソル (角川文庫)

テロリストのパラソル (角川文庫)

 

 

『フラジャイル』松岡正剛

「フラジャイル」は、俗に言う「壊れ物注意」というやつです。逆さになると「アンブレイカブル」。弱さ、弱点、壊れやすさがひとの世を動かす。強さはどんどん社会を窮屈にします。 

フラジャイル 弱さからの出発 (ちくま学芸文庫)

フラジャイル 弱さからの出発 (ちくま学芸文庫)

 

 

愚者のエンドロール米澤穂信

うーん、古典部シリーズのなかでは、あまり好きじゃありません。なぜ? ちょっと残酷すぎるんですね。その残酷さに対する『愚者のエンドロール』というタイトルが絶妙すぎます。 

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

 

 

漂流教室楳図かずお

マンガからも、ひとつ。子供から大人への梯子をのぼる誰もが、こうした漂流する一時期をおくるのです。ただ、梯子を踏み外し、大人の屑・関谷さまのようになってはいけません。 

 

チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』塩野七生

 お父さんが教皇になり、その権勢で一時期のイタリアを……と書いていて、あるサイトを発見。個人サイトですが、チェーザレ・ボルジアドメインを取るほどの熱の入れよう。すごい。わたしの説明よりもこちらをご覧ください。

 

cesareborgia.ciao.jp

 

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)