Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

【創作のタネ】隣席から耳元に囁きかける幽霊-ジョー・ヒル「二十世紀の幽霊」

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

【創作のタネ】以下はネタバレになります。 

【あらすじ】

アレックが支配人を務める映画館には若い女の幽霊が出た。最初は普通の姿をして映画に夢中になっているが、次第に、鼻血を流して、のけぞり、白目を剥く。アレックが初めて女の幽霊に出会ったのは15歳のとき。入場料を支払わず忍び込んだ席の隣りに彼女はいた。驚愕した少年アレックがホールへ飛び出すと、そこに当時の支配人がいる。彼は少年の言葉を信じ、入場料を返すと申し出るが、アレックはむしろ映画館で働かせてくれと申し出る。

【創作のタネ】

女の幽霊はどんな理由があって姿を見せるのか? 彼女は大の映画好きだったが、鑑賞の途中で脳出血を起こして死んでいた。以来、真の映画好きが映画館を訪れると決まって彼らの隣に現われるのだった。映画館の廃業が決まると、彼女はかつて驚かせた人びとの夢枕に立ち、映画館の救済を仄めかす。彼らの献身的な協力によって映画館は廃業を免れる。リニューアル最初の上映中、アレックと女は恋人同士のようにして、ふたりこの世を去る。


《幽霊が思い出の中心にいて、ひとのつながりを取り持つ。》  

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

20世紀の幽霊たち (小学館文庫)