Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【140字小説】#0009

Tシャツの襟首なんかは伸びきって、ダラーッとしてるわけ、髪の毛はフサフサのもいれば絶滅しかかっているのもいたよ、で、お互いに目も見ず、大声でプリキュアとかエヴァを話しているところへホットケーキやプリンアラモードが運ばれてきて、無心にぱくつ…

【 本 】ドイツ語で必殺技を作る-『幻想世界11ヶ国語 ネーミング辞典』

ワールドカップ終わっちゃいましたね。これから何を楽しみに生きていけば‥‥‥という、だらしない大人の愚痴はともかく。自分の好きなチームを応援したり、神業・妙技に酔いしれたり、イケメン選手を追いかけたり、楽しみ方はひとそれぞれだったかと。わたしの…

【マンガ】お伽話の世界に飛び跳ねるうさぎたち-『ご注文はうさぎですか?』

タイトルにぞっこん惚れてしまった。『ご注文はうさぎですか?』なにこのタイトル、文学性に溢れるっていうか、詩情に溢れるっていうか、んー、もう、ただただ素敵。しかし、マンガが進むに連れて、けっこう重い(?)事情があることを知り、それはそれで笑…

【140字小説】#0008

トイレに長い髪の毛が落ちてたんだけど。髪の毛は抜けたあとも成長するんだ。ふうん。ブラウザの履歴にタイ料理のお店が残ってるんだけど。匂い控えめのパクチーなんてあるんだ。それだったら食べられるの。ふうん。私って何にも知らない。でも、あとかたな…

【140字小説】#0007

大学では何を専攻したの?-はい、フランス文学です-へえ、卒論とか書いたの?-はい、今テーマを絞っているところです-どんな?-はい、フランス革命がヨーロッパ各国に及ぼした影響について書こうかと考えて……-全然分からねえや。男は足を組み、体を横…

【140字小説】#0006

部屋に黒猫が現れるようになった。部屋を隅々まで検めてみるがどこにも抜け穴はない。友人たちと見張ることにしたが、気付いたときにはみんなの輪の中に鎮座している。引き出しから拳銃を取り出し、猫めがけて六発撃ち込む。直後、こめかみからぬるぬるした…

【140字小説】#0005

料理ができあがるまえに、付け合せのサラダが運ばれた。テーブルに用意された二種類のドレッシングからひとつを選ぶと、若い女はそれをサラダにかける、かける、かける。ドレッシングボトルの半分がいっぺんになくなった。食べ終わったあとのサラダの器には…

【140字小説】#0004

運転手は、道順を教えてくれと言う。話に夢中になると、急ブレーキが増える。私の足は突っ張る。下の道を行くと時間がかかると言って、高速道路へさっさと乗り入れた。料金は運転手持ちだそうな。一方通行の表示を見落とし逆走すると、ヤバイな、まあいいか…

【140字小説】#0003

夜空に鏤められた星々のように人々は地上で光を放つ。誰に気付かれることもなく、生れ、そして潰え去る光たち。「一年に一回でも会えるだけ、織姫と彦星はマシじゃない」不貞腐れているのか、嘲っているのかわからない口調の友の手を私は握る。表情を背ける…

【140字小説】#0002

無闇矢鱈に撫でればいいものではない。女の子と同じでルールがある。喉の下をくすぐると気持ち良さそうに目を細める。手をお尻へ持っていき、尻尾の周りをナデナデすると、尻尾を真っ直ぐピンと立たせ、そのまま体を私の足に摺り寄せてくる。しめしめと思っ…

【140字小説】#0001

「携帯電話を使うのをやめなさい」という声が混雑した車内に響く。二度三度繰り返される声に、こそこそと折りたたんで片付ける人、これ見よがしに舌打ちして鞄へしまう人。携帯電話が医療機器に誤作動を引き起こすのは都市伝説だったかな、と私は頭の片隅で…