筒井康隆さんももう80歳! まだまだ元気にご活躍できるよう祈っております。しかし、一途に仕事を続けてきたひとほど、高齢になると、自分の技術を次世代に伝えたくなるもの。 そんな筒井さんが創作の技術やヒントを一冊の本にまとめてくれました。その名も…
佐野洋子さんと言われてピンと来ないひとでも、絵本『100万回生きたねこ』の作者といえばわかるひとは多いと思います。 100万回生きたねこ (講談社の創作絵本) 作者: 佐野洋子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1977/10/19 メディア: 単行本 購入: 36人 ク…
スティーヴン・キングならほとんど読み尽くしたわたし。 『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』『ミスト』なんかが映画作品として高い評価を得ています。実際のところ、キングの作品のほとんどは映像化されています。ところが、その出来があ…
前回書いた記事で、わたしが京都好きであることをお話しました。京都に関連する本だけでも100冊くらい読んでいるので、毎日一本記事を書くとして三ヶ月はもつ計算です。 面白きことは良きことなり!狸と天狗と人間の三つ巴-『有頂天家族』 - Just Melanchol…
京都では、狸と天狗と人間が共存しています。狸は物陰を徘徊し、天狗は大空を舞い、その真ん中に人間さまがどんと居座っている。「そんな馬鹿げた話」と思うひと、ぜひ本書『有頂天家族』でその事実をお確かめください。 下鴨神社の糺の森に暮らす狸、下鴨総…
大今良時さんの『聲の形』が手塚治虫文化賞の新生賞を取ったそうです。面白かったもんね~♪ 大今良時が「残るマンガを描いていきたい」と語る、手塚治虫文化賞贈呈式natalie.mu ちなみにわたしも過去に書きました。 【 本 】将也と硝子、ふたりの声なき者-…
今週のお題「最近おもしろかった本」 昭和の時代に活躍した将棋の名人、升田幸三さん。 対戦した名人相手に「名人など所詮はゴミだ」と言ったら、相手がカチンときて「じゃあ、君は一体なんだ」と。すると「ゴミにたかるハエだな」と交わすユーモア。 大のヘ…
トミー・リー・ジョーンズとハビエル・バルデムが共演した『ノーカントリー』という映画がありました。 ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray] 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日: 2012/…
世間には、「なるほど!」と思わせる素晴らしいアイディア・意見があります。一方には「ナンダコレハ?」というような珍説・愚説もまた存在します。 今なら2ちゃんねるのコピペスレが有名。これとかですね。 705 名前:Trader@Live!:2008/03/01(土) 00:22…
『独白するユニバーサル横メルカトル』 『いま、殺りにゆきます』 『ミサイルマン』 『或るろくでなしの死』…… 平山夢明さんのタイトル、気が狂っているのにソリッドな感じが好きです。いえいえ、気が狂っている「から」ソリッドなのかな? 最新作『デブを捨…
朝、コンビニに行ったら『ごちうさ』のしおりがあった! 対象商品の購入三つにつき、一個もらえるそう。ほんとは朝の七時からなんだそうだが、店員さんを拝み倒してフライングゲット!このキャンペーンを狙って朝早くからコンビニへ行ったわけではないので、…
──殺したひとの数が多すぎて、犯人自身もよく覚えていない。 関西全域にわたって起きた内縁の妻による連続殺人事件。警察も裏付け捜査に難航しているようで、まるでコントかたちの悪い冗談です。 底なし沼化した筧千佐子被告の連続殺人 新たに4人の内縁の夫…
いやー、手が痛くなりました。外は天気が良いというのに、わたしは何をしているのでしょうか。でも、始めてしまったらあとには引けなくなりました。 リストを作り終えてから思ったのは、1位と100位の順番を逆さにしても良かったかなと。最初のほうに癖のある…
ちょっと前、思い立ったが吉日で橿原神宮へ出掛けてきました。 したらば、驚愕の事実に遭遇。橿原神宮周辺というのはアニメ『境界の彼方』の舞台だったんですね。全然知らんかった。 実は、わたし、栗山未来ちゃんのファンでして、早い話が『境界の彼方』の…
先週の神田祭はすごかったですね。 わたしは神田明神には行かず、秋葉原だけだったんですけども、街のなかにまさしく「古今東西硬軟聖俗」がひしめき合っていました。大手町にあった神田明神が今の場所に移って400年目という節目の年に当っていたこともあり…
道の両側を埋め尽くす土産物屋。色とりどりの制服とバックパックを身につけた少女たちが往来を闊歩する。煎餅とお香と茶器と饅頭と簪と手拭と石鹸とソフトクリームが交錯する網目を彼女たちは軽やかに練り歩く。今も百年前も同じ光景が繰り広げられたのだろ…
客がわたしひとりしかいない喫茶。珈琲を飲む。壁には昇竜が紺地に黄金の飛沫を散らす。店の奥と手前に置かれた背高ノッポのスピーカーから流れる不規則なテンポの音楽。同じメロディーであるはずなのに、なぜかずれて聴こえる。あるいは、来し方と行く末が…
飴の模様はぐるぐる渦巻き。伽羅倶梨幻燈の放つ光の粒もぐるぐる渦巻き。花は風に散り、集められ、ぐるぐる渦巻き。風に吸いあげられた花びらが頭のうえから降りそそぐ。たもとを広げ、受けとめた花びらを着物の柄のなかに溶け込ます。「姉さん、うちもそな…
過去に書いた「ネーミング」に関する本の紹介記事が好評でしたので、今回はわたしが学習したことのあるドイツ語について、なぜドイツ語をカッコよく感じるのか、多分に偏見を駆使して解説しました。 【 本 】ドイツ語で必殺技を作る-『幻想世界11ヶ国語 ネ…
窓から吹き込む花嵐。靄がかる遠くの野辺も花吐息。ガラスの器には色とりどりの飴玉がぎっしり詰まる。わたしは一番うえにある花色を指先で摘むと、ぽんと口のなかへほうりこむ。途端、花の色が唇を染め、花の薫りが胸いっぱいに広がる。ここに居る花を愛で…
狭い石塀の凹凸を足の裏に感じつつ、すたすた歩く。両腕はバランスをとるためにすっと高らかに。わたしとパラレルに空にはひこうき雲。線路は続くよ、どこまでも……なんて歌がつい口をつく。一歩踏み出すごとにこころだけが加速していく。もう少しでわたしも…
衣食住に満ち足り、無用な争いやストレスもなく、ひとりひとりがその人格を尊重され、尊厳をもって一生を終える。古来、ひとはそうした申し分なき世界をユートピア、理想郷と呼んできました。ですが、その陰に大勢のひとの犠牲が隠蔽されているのだとしたら…
川縁に等間隔で並ぶ恋人の影。ときおり吹く風が鳴らす草のさざめき、彼らの真綿にくるんだかそけきさざめき、あたりは生命のメタファーで溢れている。わたしは耳に心地よいノイズの中をクロールですいすい泳ぐ。眼の前の草むらから一斉に蛍が飛び立つ。音と…
道はゆるやかに蛇行しているが、遠く彼方まで見通せる。太陽の斥力に潰され、無菌状態の道はどこまでも、徹底して不在だ。空気まで燃焼したかのように、体から吹き出る水蒸気は瞬く間に霧散する。道端に生い茂る向日葵たちが、まるで首を吊ったひとのように…
今日は創作が大好きなひとに一冊の本をご紹介したいと思います。 それは、シド・フィールド『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』です。まずはわたしがこの本を知るに至った経緯を簡単にご説明しますね。 素晴らしい映画を書くためにあ…
アメリカ中西部と言われても、日本に生まれ育ったわたしには土地勘がありません。太平洋、大西洋に面した沿岸の地名ならいくらか心覚えがあるものの、だだっ広い内陸については白地図も同然で記憶の砂漠だけがどこまでも広がります。 「中西部」という字面を…
ひとは見かけによらぬもの、見た目でひとを判断するな、名は体をあらわす、目は口ほどに物を言う、『人は見た目が9割』、見掛け倒し、猫かぶり、名実一体……などなど。これらはみな、ひとの内面と外面がどれくらいかけ離れているか、あるいは似通っているか…
中学生になりたての詩万ちゃんはお父さんとふたり暮らし。こころはともかく、体だけはどんどん大人になっていくお年頃。初潮が来てしまったことで、自分がオンナであること、オトナになることを否が応でも自覚せざるを得ません。でも、オトメゴコロを多少な…
目の前に広がるのは茫漠たる砂漠。なぜ、こんな辺鄙なところに国境警備の砦があるのかと、新人将校ドローゴは不審に思いつつも着任します。どんな必要があり、守備を行っているのか先任のひとびとに尋ねると、砂漠の果てには異民族のタタール人がおり、彼ら…
マンションの高層階から蓑虫のようにぶらさがる女。でも、それは口から鼻の横へかけて貫通するようにフックでぶらさげられています。こんな衝撃的なシーンから『連続殺人鬼 カエル男』の物語は始まります。死体のそばには警察を挑発するとも、犯人の自己顕示…