Just Melancholy

140字の小説をほそぼそと流します。本(ナンデモ)を読むことと旅(京都と外国)に出ることと文章を綴ることが大好きです。

2015-01-01から1年間の記事一覧

【140字小説】#0059

中華屋の二階にある部屋から駆け降りる。階段には一段おきに猫が寝そべる。商店街のスピーカーは今日のウェザープランに変更があることを告げる。路上を往来するたくさんの民族衣装のあいだをすり抜け神社へと。ひとも通りもが満艦飾。大空には、曼荼羅を描…

【 本 】エブリバディ・ラブズ・ブックス!-『本は、これから』

最近、Amazonで電子書籍が50%オフの大盤振る舞いでした。Kindleの市場を広げようと、なかなか大胆なことをやりおります。 わたしの個人的な意見としましては、本来、紙の本と電子書籍は対立するものではありません。映画を観るときに、大画面好きは劇場に…

【 本 】「猫好きに悪い人はいない!」-『にゃんそろじー』

こんにちは、猫が好きなのに猫アレルギーという野々宮さくらたんです。 猫がそばにいると、最初はくしゃみ、そのうち発作がおきてくるので、結構シャレにならんス。でも、嫌いになれないんだよなあ。あのすべすべした頭やとんがった耳、歩くときなんかの艶め…

【140字小説】#0058

レイリー散乱によって赤くなった陽射しがひとけのない教室を満たす。すみが丸くカールした掲示板のプリントはまるで枯れ葉のよう。夏の火照りを秋が冷ますように、教室の体温も一日の終わりとともに拡散していく。貴方の残り香は最後にひときわ輝きを放つ。…

【140字小説】#0057

土でこしらえた人形に魂を吹き込む。彼は怪訝な表情を浮かべ、自分の両手を見て、指を開いたり閉じたりしている。首を巡らせわたしを見あげる。どうして自分がここにいるのかわからずに、腹を立てているようだ。わたしは声を出し、人形の運命を思って嗤った…

【雑 文】タイトルに惹きつけられた15冊、もちろん中身も保証します

先日、ご紹介した『創作の極意と掟』という本。そのなかに次のような箇所がありました。 6.【表題】古今東西、名作のタイトルを安易につけてはならん。でも、「作品1」「作品2」とか現代美術みたいなタイトルをつけると、あとで自分が困るよ。 <a href="http://just-melancholy.hatenablog.com/entry/2015/05/29/103857" data-mce-href="http://just-melancholy.hatenablog.com/entry/2015/05/29/103857">【 本 】</a>…

【マンガ】西尾維新の物語に漫画家たちの個性がトッピング-『大斬』

見ていると、毎月のように新刊が出ている気がする西尾維新さん。もちろん、そんなことはありませんが、そう錯覚させるくらい速筆であることは間違いないようです。こんなまとめサイトがあるくらいですから。 <a href="http://matome.naver.jp/odai/2133475127384680801" data-mce-href="http://matome.naver.jp/odai/2133475127384680801">作家・西尾維新の速筆伝説 - NAVER まとめ</a>matome.…

【 本 】これだけの顔ぶれが一冊で読めるのは短篇集だからこそ-『短編復活』

長編小説は、どれだけ興味のある分野でも、ときに重く感じます。 作者が決めたひとつのテーマとじっくり向き合うわけですから、読むほうもそれなりの覚悟が求められます。言うなれば、作者と読者の一騎打ち。 無理して読んでも、読後感にそれだけの余韻が残…

【雑 文】「我を崇めよ」、加藤保憲を生み出した怪作『帝都物語』

買おうかどうしようか、悩んでいるブツがあります。10,000円以上もするのですが、Amazonの日本映画では5位の売れ行き。SFカテゴリーにしぼるなら堂々のランキング1位です。(平成27年6月4日現在) そのブツとは、Blu-ray版『帝都物語』。 映画の原作をお…

【だいあり】千夜ちゃんをもっと大事にしましょう

近所のローソンでは、千夜ちゃんだけ余りまくってました。心愛の次に千夜推しのわたしとしては釈然としないのですが、まあ、いいでしょう。欲しかったのは全部ゲット!おかげで部屋には時ならぬチョコレートの在庫が。一番安い、100円のチョコ、9袋(商品3…

【 本 】読書好きな人が読むとこころが痛くなる-『読書について』

哲学者なんて、身体も動かさず、頭のなかだけでうじうじものを考える、なまっちろい、よく言えばデリケート、わるく言えばナイーブなひと。 だと、思っていました。 しかし、ショウペンハウエル『読書について』を読んだとき、こういう激しいひともいるのか…

【 本 】アイルランドミントの香り漂う儚き神話世界-『ペガーナの神々』

世界にある宗教は、大別すると一神教と多神教になります。 一神教は、砂漠や狩猟が行われていた地域に成立しました。生存環境が厳しく、みんなで集まって相談なんかしてた日には全滅しちゃうぜ、みたいな場所ですね。可及的速やかにジャッジをくだすには、な…

【 本 】まんが表現の極めつけ、これは辞典です!-『マンガの読み方』

1995年に発売された、ちょっと古い本なのですが。 まんがを「線」「記号」「言葉」「コマ」の要素から徹底的に分析しています。大学の論文というか、もはや一分野の研究レベル。あまりに内容が濃すぎて、頭がクラクラしてきます。 執筆者には、竹熊健太郎さ…

【 本 】メディアを行き来する作品たちの変容-『まんがはいかにして映画になろうとしたか』

表紙を見るとチャラい感じを受けますが、一応、大学の論文集。大塚英志さんの『まんがはいかにして映画になろうとしたか』。たまにこういうお堅いものも読みたくなる。 映画表現をマンガへと翻訳し続けた手塚治虫さん、石ノ森章太郎さん。その後、大勢の作家…

【だいあり】アニメも面白い!『有頂天家族』

小説が面白かったので、アニメも観ました。このオープニングからしてたまらん。すっごい上手。音楽も好き♪ちなみに ↑ の女子高生は「男」ですので(笑) 【歌詞付】有頂天家族OP「有頂天人生」 - YouTube 【 本 】面白きことは良きことなり!狸と天狗と人間…

【雑 文】夢っていらないでしょ? いやいや、夢って大事でしょ?

少し前に、タモリさんに関するこんな記事がネットに流れました。ちょっと長いですが、全文引用。 タモリが夢を持つ生き方を否定「夢があるようじゃ人間終わりだね」10日放送の「ヨルタモリ」(フジテレビ系)で、タモリが「夢を持つ生き方」について持論を展…

【 本 】イルカ跳ね、飛行機墜ちる南米の密林-『イルカと墜落』

沢木耕太郎さんには大変申し訳ない。古本屋で叩き売りされていました。 これまでにも『深夜特急』『人間の砂漠』『テロルの決算』などを読み、沢木さんの作風というか、文体に痺れておりました。ハードボイルドさ、苛酷さ、重さ、眼差しの暖かさなど。 しか…

【 本 】創作の「極意」と「掟」、31箇条を極限まで要約-『創作の極意と掟』

昨日書いた、筒井康隆『創作の極意と掟』へ興味をお持ちの方が多い。 【 本 】創作志望者には目からうろこがてんこもり-『創作の極意と掟』 - Just Melancholyjust-melancholy.hatenablog.com ですので、今日はこちらに31の「極意」と「掟」を極限まで要約…

【 本 】創作志望者には目からうろこがてんこもり-『創作の極意と掟』

筒井康隆さんももう80歳! まだまだ元気にご活躍できるよう祈っております。しかし、一途に仕事を続けてきたひとほど、高齢になると、自分の技術を次世代に伝えたくなるもの。 そんな筒井さんが創作の技術やヒントを一冊の本にまとめてくれました。その名も…

【 本 】神や仏がいなくても、そこには人間がいるのです-『神も仏もありませぬ』

佐野洋子さんと言われてピンと来ないひとでも、絵本『100万回生きたねこ』の作者といえばわかるひとは多いと思います。 100万回生きたねこ (講談社の創作絵本) 作者: 佐野洋子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1977/10/19 メディア: 単行本 購入: 36人 ク…

【雑 文】スティーヴン・キングを読み尽くすわたしがオススメする5作品

スティーヴン・キングならほとんど読み尽くしたわたし。 『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』『ミスト』なんかが映画作品として高い評価を得ています。実際のところ、キングの作品のほとんどは映像化されています。ところが、その出来があ…

【 本 】京都の旅がもっと楽しくなるトリビア満載-『京都通になる100の雑学』

前回書いた記事で、わたしが京都好きであることをお話しました。京都に関連する本だけでも100冊くらい読んでいるので、毎日一本記事を書くとして三ヶ月はもつ計算です。 面白きことは良きことなり!狸と天狗と人間の三つ巴-『有頂天家族』 - Just Melanchol…

【 本 】面白きことは良きことなり!狸と天狗と人間の三つ巴-『有頂天家族』

京都では、狸と天狗と人間が共存しています。狸は物陰を徘徊し、天狗は大空を舞い、その真ん中に人間さまがどんと居座っている。「そんな馬鹿げた話」と思うひと、ぜひ本書『有頂天家族』でその事実をお確かめください。 下鴨神社の糺の森に暮らす狸、下鴨総…

【だいあり】大今良時『聲の形』受賞!

大今良時さんの『聲の形』が手塚治虫文化賞の新生賞を取ったそうです。面白かったもんね~♪ 大今良時が「残るマンガを描いていきたい」と語る、手塚治虫文化賞贈呈式natalie.mu ちなみにわたしも過去に書きました。 【 本 】将也と硝子、ふたりの声なき者-…

【 本 】上司から部下までひとの使い方を将棋で指南、駒使いが人生を制する-『勝負』

今週のお題「最近おもしろかった本」 昭和の時代に活躍した将棋の名人、升田幸三さん。 対戦した名人相手に「名人など所詮はゴミだ」と言ったら、相手がカチンときて「じゃあ、君は一体なんだ」と。すると「ゴミにたかるハエだな」と交わすユーモア。 大のヘ…

【 本 】ターミネーターのようなヒットマンに痺れる、映画もオススメ-『血と暴力の国』

トミー・リー・ジョーンズとハビエル・バルデムが共演した『ノーカントリー』という映画がありました。 ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray] 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日: 2012/…

【 本 】ひとは間違ったことを言い続けてきました-『珍説愚説辞典』

世間には、「なるほど!」と思わせる素晴らしいアイディア・意見があります。一方には「ナンダコレハ?」というような珍説・愚説もまた存在します。 今なら2ちゃんねるのコピペスレが有名。これとかですね。 705 名前:Trader@Live!:2008/03/01(土) 00:22…

【 本 】うでとでぶどっちがいい、目眩がする究極の選択-『デブを捨てに』

『独白するユニバーサル横メルカトル』 『いま、殺りにゆきます』 『ミサイルマン』 『或るろくでなしの死』…… 平山夢明さんのタイトル、気が狂っているのにソリッドな感じが好きです。いえいえ、気が狂っている「から」ソリッドなのかな? 最新作『デブを捨…

【だいあり】今日は良い日だ、そうに違いない

朝、コンビニに行ったら『ごちうさ』のしおりがあった! 対象商品の購入三つにつき、一個もらえるそう。ほんとは朝の七時からなんだそうだが、店員さんを拝み倒してフライングゲット!このキャンペーンを狙って朝早くからコンビニへ行ったわけではないので、…

【 本 】怖すぎ!京都の連続殺人事件を予言していた?-『後妻業』黒川博行

──殺したひとの数が多すぎて、犯人自身もよく覚えていない。 関西全域にわたって起きた内縁の妻による連続殺人事件。警察も裏付け捜査に難航しているようで、まるでコントかたちの悪い冗談です。 底なし沼化した筧千佐子被告の連続殺人 新たに4人の内縁の夫…